構造設計の原則

1).構造計算の種類を知っておこう

  設計者には欠かすことのできない知識の一つでしょうか。構造計算と一口に言っても手法は様々で、下図のように 5種類の手法に大別することができます。
手法そのものや工学理論・運用上の取扱いといった面で難易度をランク付けすると、「時刻歴応答解析」が横綱クラスと勝手に評価しました。超高層の建物はこの計算手法が義務付けられ、しかるべき機関で評定を受け大臣認定を取得しなければ確認申請時に提出できないという、気の遠くなる凄さがあります。
左側になるほど難易度が少しは軽くなるんでしょうが、それでも小結クラスと評価した「許容応力度等計算」と呼んでいる手法でも、構造計算適合判定制度の対象になり構造計算書の二重チェックが伴います。

さて、カーポート等の計算手法は?というと、一番左端にあるルート:1と称する手法で運用が可能です。確認申請時においても、建築主事の審査で完結できるというシンプルさがあります。

設計ルート

2).小錦型と若乃花型

  建築基準法 施行令(第36条の3)に次のような一節があります。
建築物の構造耐力上主要な部分には、使用上の支障となる変形又は振動が生じないような剛性及び瞬間的破壊が生じないような靱性(じんせい)をもたすべきとする。

剛性は何となくイメージつきそうですが、靱性(じんせい)って何?と、問われるとピンとこないのでオールドファンには馴染みのある小錦と若乃花を例えに摸式化してみました。

まず、小錦は押した時に受け止める力は非常に大きいが粘りがない。変形が少ないからエネルギーの吸収能力となると非常に小さいわけで、エネルギー吸収能力とは「強度」と「変形」を掛け合わせたものだというのが解かります。(図の三角形OABで囲った面積が吸収能力)

一方 若乃花は、強度的には小錦が200s支えられるところ半分の100sしか支えられないかもしれないが、100s辺りから変形を始め、反り腰しになるとか、うっちゃるとか、どんどん変形する。
相手は200sの力をかけようと思って押すと、若乃花は100s位で変形を始めて粘るから、相手は100sの力で押し続けないといけないのでエネルギーは使い果たされるわけで、若乃花はエネルギーを吸収して倒れないでいる。といった具合です。(図のOCDEで囲われた面積が吸収能力)

小錦の場合、100sかけても動かないので、200sまで力がかかる。そこからエネルギーを吸収するため、変形するかというと、チョット変形したらすぐ終わる。(バタっと倒れる)
そういうことで、エネルギーの吸収量が大きい若乃花の方が強い。これは構造物にも当てはまることで、靱性(じんせい)とは、相撲でいうところの「反り腰し」とか「うっちゃる」などの粘り強さのことです・・・。

粘り強さを活かす靱性に期待した構造設計、これはアルミ構造も大いに学ぶべきことかと思われます。


若乃花

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